外国人に向けた「おもてなし」:外国人のお客様に喜んで頂 く方法
Carl Albright
09/05/2016

突然ですが、日本に来る外国人のお客様を惹き付ける一番の方法は何だと思いますか?

例えば、観光ツアー、宿泊施設、飲食店などのサービス業に携わっている方なら、様々な言語に翻訳したホームページやチラシなどを用意することがいいと考えるかもしれません。あるいは、英語、中国語、韓国語などを話すスタッフを雇うことが効果的であると考える人もいるでしょう。

 

現在日本に来る外国人観光客の数は爆発的に増えており、2015年には2000万人を突破しました。そして、2020年には4000万人を超えるだろうと予測されています。このチャンスを本気で活かしたいと考えている人は、既に外国人観光客向けの出版物やウェブサイトなどに広告を出しているかもしれません。また、位置情報を利用して、GoogleやFacebookなどで、特定のエリアをターゲットにした広告を出し集客をしているかもしれません。

 

このような手を打っているとしたら、それはすばらしいことです。既に外国人のお客様をあなたのお店の前まで連れてきていると言ってもいいでしょう。そして、あるお客様は、お腹が空いて何か食べたかったり、または疲れていて休みたかったり、お土産を買いたかったりと各々のニーズを抱えていることでしょう。

そして、おそらく、そのような外国人のお客様は日本語をうまく話せないかと思います。

しかし、安心してください。というのは、日本人の「おもてなし」の精神でそのような壁も乗り越えられるからです。

 

外国人観光客が日本のおもてなしについて考えること

そもそもおもてなしとは、もてなしをする側が、事前に予想できるお客様の全ての要望に、言われる前に応えることで、お客様からそれ以上求められることがないようにしようという考えから成り立ちます。言い換えると、お客様はもてなしをする側の判断に従うことを求められているということです。

このおもてなしは、日本の中ではうまく機能します。というのは、日本人はそれぞれ似たようなニーズと価値観を持っているからです。

 

日本のこのおもてなしは、日本に来る多くの外国人観光客から高い評価を頂いています。

世界の各国から来る外国人観光客は、日本の接客から、ギフト包装、上品なお辞儀、時間通りの電車まで、すべてに驚嘆しているようです。

ところが、このおもてなしには、実はカバーできない部分もあるのです。実際に、日本のおもてなしだけでは、満足できない外国人観光客もいるようです。

 

例えば、お客様の中には、小さなお子様を連れていることもあれば、大きな荷物を持っていたり、アレルギーなどで特別に食事の必要があったり、身体に不自由があったり、もうひとつ枕が欲しいと言ったり、もっと大きなスリッパが欲しいと言ったりなど、もてなす側が予想していなかったことを求めることがあるでしょう。このような時、外国人観光客は、私たちにある程度柔軟性をもった対応をしてくれることを期待しています。これは、何も王様のように扱ってほしいわけではありません。ただ、先ほど例に挙げたような小さな問題を、完全な対応でなくてもいいから少しでも要望を聞いてもらいたいと思っているのです。

 

日本に来た外国人観光客は、日本人スタッフの「それはできかねます・・・」や「申し訳ございませんが、私どもの方では・・・」などと言われることに衝撃を受けることがあります。どんなに丁寧な敬語を使っていても、そのような内容を言われること自体が衝撃的なのです。

「日本人スタッフは特殊な対応をすることが苦手で、なにか要望があるとそれに応えることなく、すぐ断る」というのが、外国人が日本のサービスに対する不満として、最も多く言うことです。もちろん日本人としては丁寧に断っているつもりでしょうが、外国人からしたら断ることに変わりはありません。

 

外国人に向けた「おもてなし」

言うまでもなく、おもてなしは日本が誇るべきすばらしい文化です。

外国人のお客様へサービスをする際、おもてなしを使わない手はありません。日本国内でのみ機能するなんてナンセンスです。

 

ただ、大事なのは「柔軟性のあるおもてなし」です。どんなタイプのお客様のニーズにも合わせられるおもてなしです。これまでのように、「申し訳ございませんが出来かねます。」ではなく、「私に何ができるか考えてみます」や「それなら対応可能だと思います」などの言葉を使いましょう。

このような言葉を使うことで、お客様は、自分の要望を聞いてもらえている、一生懸命解決しようとしてくれていると感じます。

 

もちろん、このような言葉と態度だけでは十分ではありません。

本当に外国人のお客様を喜ばせようとするのであれば、スタッフ自身が自分で考え、自分で行動できるようにすべきです。スタッフの失敗を罰するのではなく、先ずは自発的な行動をしたことを褒めましょう。

スタッフを教育する際、実際の現場ではお客様の要望全てが予めわかるものではないということを明らかにしましょう。もしかしたら、ある時、スタッフが自分の判断で最高のサービスを提供するために、小さなルールを破る必要があるかもしれません。

 

今挙げたようなことは、本来のおもてなしの定義とは異なりますが、これはおもてなしのプラスアルファ、もしくは外国人向けのおもてなしだと考えてみましょう。

今から外国人に優しいおもてなしを実践しておけば、今後、2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピックなどで外国人観光客が増える前に、外国人から最高のサービスだと高い評価を得られるでしょう。

 

最後に、頭に入れておいてほしいことがあります。日本人と同じように、外国人観光客も、食べログやトリップアドバイザーなどのレビュー機能のあるサイトを使って、日本滞在中にどこで食べるか、どこに泊まるかなどを決めています。高いレビューが付いていればサービスを受けてみたいと感じるでしょうし、逆に低いレビューが付いていればサービスを受けようと思わないのです。